代表メッセージ

先人の残した礎に感謝し、新しいものを創造する。
「未来を創造する老舗」として、今できることを考える。

代表取締役社長 柴田 伸城

仏師・宮大工としての始まりから、仏壇・仏具への転身。
彫刻芸術としての感性から、仏壇・仏具を美術工芸の域まで昇華させた。

赤澤朝陽(あかざわちょうよう)の成り立ちと歴史について教えてください。

弊社の歴史は古く、室町時代までに遡ると言われております。もともとは宮大工を家業として、京都で営んでおりました。
江戸時代(1805年)に、江戸幕府からの指示で京都から江戸に移り住み、日光東照宮の工事責任者として東照宮での補修などに関わってきました。
明治時代からは中央区京橋で仏具業も開始し、その後に現在の台東区田原町に移転してきました。

私の曽祖父にあたる3代前の赤澤朝次郎は、東京美術学校(現・東京芸術大学)出身の彫刻家で、同じく彫刻家の高村光雲に師事しておりました。繊細な彫り細工を得意しており、彫刻家としての感性から、仏壇(厨子)・仏具を美術工芸の域まで昇華させ、赤澤朝陽の仏壇(厨子)・仏具作りの基礎を築いた人物です。
会社名の読み方を「珍しいですね」「どのような由来ですか」と言われることがありますが、赤澤朝次郎は工芸を制作した際のペンネームに「朝陽」を使用しており、そこから会社名を「赤澤朝陽」にしたそうです。
明治生まれの朝次郎は開拓精神に溢れていたそうで、積極的に西洋文化など新しいものを吸収し、様々な分野の文化人とも交流して工芸に生かしておりました。
進取に富む赤澤朝陽の企業文化には、朝次郎の物づくりの姿勢がDNAとなり現在に残っております。

彫刻家 赤澤朝次郎が描いた仏具のデザイン図

世界各国にも展開。
相手に対する感謝を忘れず、仏壇を通して世界平和に貢献する。

仏壇仏具会社には珍しく海外への輸出も積極的にされてますが、何か心がけていることはありますか

ヨーロッパの礼拝室がある建物の一例

第1に企業理念に「報恩感謝の精神を忘れずに」と掲げています。まずお客様があってこその製作・輸出でありますので、海外のお客様及び関係者の皆様に社員一同感謝申し上げます。
第2に企業理念に「世界平和への貢献の精神を忘れずに」と掲げております。モノづくりをする上で「モノづくりのためのモノづくり」ではなく、自分達のモノづくりが「何のために」「何に貢献できるのか」というテーマは常に大事かと考えております。

私たちは宗教用品を製作し提供いたしております。全ての宗教の目的には「平和の実現」があると思います。そうした考えに付随する製品を、国内のみならず海外へ製作・提供することで、私たちも世界平和に貢献できると感じています。使命感を持った「志のある」モノづくりをしていけるよう、常に努力していきたいと思います。
第3に「各地域の文化・風土を尊重するモノづくり」です。海外の様々な地域のお客様からのご依頼では、地域の文化・風土を考慮した製作の需要が年々多くなってきております。その際、「日本ではやったことがないからできない」と言うのではなく、お客様の文化を理解・尊重し、できる限りの智慧を絞り、私たちの技術を製品化していく姿勢を常に持っていたいと思います。

これまでの海外のお仕事の中で、特に心に残っているものはありますか?

ありがたい事にたくさんありますが、ここでは伝統技術という観点からお話ししたいと思います。とあるヨーロッパの国では、職人たちが自国のクラフトマンシップに誇りを抱いており、日本の製品を取り入れることに懐疑的でした。私たちが現地で製品を組み立てる際も、様々な方が集まり、目を近づけて工法や仕組みを注意深く観察していました。

しかし、製品が完成した際には、「これは自分たちではできない」「日本の技術はすごい」と言ってくれ、それがとても印象に残りました。日本では当たり前のことでも、あらためて海外の方からご指摘いただくことで、自国の伝統技術を誇りに感じることができました。

海外での現地組み立て風景

地球環境と共生する老舗として。
木を大事にする仕事だからこそ地球環境も大事にする。

植林などの社会貢献活動の取り組みもされていますね。

木を多く使用する仕事ですので、木を大事にしていきたいと考え、植林プロヘジェクトに支援させて頂いています。また、スタッフにも木の大事さを共有してもらうために、植林ツアーへ参加し、作業を通して植林の大事さを実感してもらっています。

植林以外にも当社の仏壇仏具商品のLED化も進めております。海外、特にヨーロッパの方と接すると地球環境保全や循環型商品への意識が高いと感じます。日本でもその意識は高まっておりますので、私たちも更に取り組みを強化していきたいと思います。

社員による植林作業

未来を想像する老舗として。
仏壇・仏具業界から一歩踏み出し、新しいものを創造する。

赤澤朝陽では、ルームフレグランスやベルを扱う新事業「a1805」にも力を入れていると聞きました。

日本における仏壇仏具の価値感の変化に伴い、パラダイムシフトが起きていると感じております。仏壇仏具だけでは、職人の維持だけでなく、若い職人や後継者を育成することが中々困難になってきているのも事実です。
そのような現状だからこそ私たちも日本の大事な伝統技術を進化させようと、仏壇・仏具の世界から一歩踏み出し、新たな挑戦を開始しました。

私が大切にしているのは、世界的歴史学者のアーノルド・J・トインビー博士が残した「挑戦と応戦(チャレンジアンドレスポンス)という至言です。
例えば、古代エジプトの人々は、周囲の砂漠化に伴ってナイル川流域に移住したことで、衰退を回避しピラミッドを築くまでに発展しました。人類発展の歴史は、地球・自然環境からの「挑戦」に対する「応戦」によって築かれた部分も多くあると思います。

今、仏壇仏具の世界も「未来に向けてどのように応戦し生き残るのか」という転換期に来ていると感じます。『a1805』というプロジェクト名は、前述しました「朝次郎(asajiro)」の頭文字、そして私たちが京都から江戸に移り創業した「1805年」という数字を組み合わせたものです。

私たちには、宮大工や彫刻美術など「クリエイティブ」な事をしてきた歴史があります。仏壇仏具は様々な分野の技術を集大成させた製品と言われているように、多くの伝統技術を擁しております。しかし、日本国内の仏壇仏具だけに技術を固執せず、新しい分野とデザインで製品化して、世界中の方に喜んで頂き、作り手も維持・継承していこうというのが、このプロジェクトのコンセプトです。

また、a1805は新規プロジェクトでもありますが、会社の長い歴史を深く見つめ直しながらクリエイティブなDNAへの原点回帰でもありますし、このプロジェクトから本業の仏壇仏具に生かされることも出てくると考えています。
200年の中で先人たちが残した礎に感謝し、新しいものを創造することで、環境からの挑戦に応戦していく。「未来を創造する老舗」として、熟練の職人(クラフトマン)達や異業種の人々とも「協業」しながら新しい「価値創造」をしていきたいと思います。

「a1805」から発売されているスティックインセンス

仏事用の鈴(りん)を作る職人技を活用した新プロダクト「KEEN」

a1805のプロジェクトで国内・海外で新商品を出展されたそうですね

国内・海外ともに好評を頂きましたが、特にフランスのMaison Objetでの出展では、私たちが想像していた以上に大きな反響を頂くことができました。
海外の方から社業の歴史や日本の伝統技術に注目していただき、仏壇仏具で培ってきた伝統技術もデザインや表現を変えれば、海外の多く方に需要があるのだと強く実感しました。

実際にヨーロッパのお客様から受注を頂き、幸先の良いスタートができましたので、今後更に海外をメイン市場にして日本のクラフトマンシップをアピールしていきたいと思います。

本社近くの浅草・仲見世にて